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On the Streets of America アメリカ英語方言のリスニング [ホールド]

On the Streets of America アメリカ英語方言のリスニング CD BOOK






アメリカの様々な英語について書かれたCDブックである。これを真似ればその方言が習得できるかと言われれば否定的な答えになるだろう。これは日本語の方言でも同じだろう。先ず分量が足りないからだ。ということで学習用として買う必要は無い。



英語ネイティヴならば、どの辺のアメリカ英語か当てるというゲームのようなことをする楽しみがある。もちろん日本人でも慣れればできるのだろうが、この本はもっと大雑把なものだ。

実用と言うよりも楽しみの方に近い。現地の言葉に早く慣れたいとかヒップホップ系の音楽をもっと楽しみたいとかいう場合に使えるのだろうか。

語学マニアのお楽しみのための本のようなものだ。



【目次】 はじめに アメリカ英語について
本書の使い方
1 アフリカ系アメリカ人の英語
2 アメリカ南部の英語
3 ボストン英語
4 チカーノの英語
5 ヒルビリーの英語
6 ティーンエイジャーの英語

コラム
アフリカ系アメリカ人の英語が及ぼす影響
南部の英語に対する複雑な感情
ボストン英語のイメージ
がんばれ! ヒスパニック文化
軽蔑される? ヒルビリーの英語

WRITERS
DeShong Perry (第1章 1、2)
Dawn Harrison (第1章 3)
Dennis Siler (第2章)
Sean Lucey & Cathi Bifano (第3章)
Manuel Murrieta Saldivar (第4章)
Roy Hil (第5章)
John VanDenburgh (第6章)



編著者
ボイエ・デ・メンテ Boyé De Mente
アメリカのミズーリ州生まれ。1949年にアメリカ軍の情報機関の一員として来日して以来、ジャーナリスト、編集者、コンサルタント、教員などとしてアジアおよび日本に関わった仕事にたずさわる。日本のビジネスに関する初の英文書Japanese Etiquette & Ethics in Business(1959)をはじめ、日本に関する著書多数。また『謎の英単語230-日本人にはわからない「裏」の意味』(松本道弘との共著:講談社インターナショナル)など、日本での書籍もある。小社刊『通じないカタカナ英語』(松本道弘著)では協力者の一人として、日本とアメリカの異文化交流の視点から多くのコメントを寄せている。



はじめにで、アメリカ英語は南北で大きく2つに分かれていて、北部は3方言に、南部は2方言に分かれるとされている。北部方言は北部北域(ニューイングランド地方を含む)、北部南域と西部の3方言に、南部方言は南部北域と南部南域の2方言に分けられている。また、人種民族的な背景によっても分けられる。

主要なアメリカの方言として認められたものとして、アフリカ系アメリカ人の英語、ボストン(ニューイングランド)の英語、チカーノ(ヒスパニック)の英語、ヒルビリーの英語、イタリア系アメリカ人の英語、ユダヤ系アメリカ人の英語、アメリカ南部の英語の7つがあるとしている。方言として認められてはいないが、「クール」なティーンエイジャーが話す英語を8番目の方言として挙げることができるとしている。

本書では、上記8つの「方言」の内、イタリア系アメリカ人の英語、ユダヤ系アメリカ人の英語を除いたものを取り上げている。南部は一つにまとめ、北部は北部北域に分類されるボストン英語を取り上げている。76頁の解説では東部アメリカ英語というもの重なっていることになっているようだ。





内容は、街で拾った音というわけではなく一応構成されている。本当はこんなこと言わないとか目くじらを立てるのではなく楽しむためのものと割り切った方が良いだろう。もしかしたらこの本で特徴をつかんで成果を動画で公開するというのもできるかもしれない。学習用でも学術書でもないといった中途半端さを楽しめれば良書なのだろう。




各章の頭に、その英語の特徴などが編著者によって解説されているが、章末にはコラムとして文化的背景の解説がある。発音の詳細に関しては、各ダイアローグで使われているものの解説となる。各章のライターは全員が専門家として大学で教えているとか研究しているというわけではない。作家であったりIT企業経営者であったりジャーナリストだったりする場合もある。



さて、著者についてだが、こう書かれている。
アメリカのミズーリ州生まれ。1949年にアメリカ軍の情報機関の一員として来日して以来、ジャーナリスト、編集者、コンサルタント、教員などとしてアジアおよび日本に関わった仕事にたずさわる。

最近話題の軍の情報機関ですか。いわゆるインテリジェンス業界の人間が書いたものだが、筆者は現役なのだろうか。

近年はインターネットやGPSといった軍事技術を民間や他国に開放し利用させてから大規模に時にはピンポイントで情報収集をするという手法があるが、著者は昔ながらの方法で現地に入り込み情報を得たりそれ以上のことをしたりといったことをしているのだろうか。

文化人類学も学問という建前はあるにしても、『ザ・グレート・ゲーム』のように現地調査の重要性は昔から変わっていないのだろう。

ただ、本書の利用者は単純に楽しむために購入するのだろう。
また一冊積み上がるのか。。。

On the Streets of America アメリカ英語方言のリスニング





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アメリカの子供はどう英語を覚えるか [ホールド]

アメリカの子供はどう英語を覚えるか








この本を手に取る人は、バイリンガルやマルチリンガル教育に興味のある人か古い例で言えばナチュラルメソッドやダイレクトメソッドのようなものに興味のあるのだろうか。

幼児の母語習得過程を参考に自分の外国語学習を効率化あるいはよりネイティブに近いものにしたいと考える人間に読まれるものと考えられる。

参考にはなるが、どちらかというと研究者のものであり、社会人からすれば例えば自分の専門分野に絞った英語をといった神田昌典の方法が良いだろう。

ということで、特にすすめない。




さて、この本を読んでいくと、母親はアメリカ人で父親は日本人なのだが、実はバイリンガル教育ということを特に意識していないのかとも思われる箇所がある。

それぞれの親の母国語のみを子どもに話しかけるというのがバイリンガル教育の定番のようだが、この本では日本人である父親も英語を使って子どもに話しかけることがあったと記述されている。後に日本語だけにしたようだが。これは単に父親の都合であり、日本語の方が楽だからといった理由のようだ。

p.152
最近では夫もまちがいを避けるために、日本語でジーナに話しかけるようにしているようです。



バイリンガル/マルチリンガル教育、言語と子育てに関しては、『ヒロシ、君に英語とスペイン語をあげるよ』や『バイリンガルを育てる―0歳からの英語教育』などがある。





観察では子ども(ジーナ)は固まりで覚えていると著者はいう。固まり、チャンクだ。

幼児が単語や言葉の意味を獲得することに関して、始めは大きく固まりから次第に細かくという感じになっていることを観察している。その過程で単語のイメージをつかんでいる。

固まりとして捉えるのは、日本の英語学習では熟語として覚えるのだが、そこから更に単語の意味となると通常は学習の範囲とはならず、訳語を幾つか覚えるという方向になる。意味ではなく訳語である。

この意味を追求しようとした動きとしては、西村喜久田中茂範がいる。

これはいいのかも知れないが時間が掛かるだろう。社会人が短時間でビジネス上で英語を使うという場合は残念ながら省略されるものだ。長いスパンならこれは英語の感覚を身につけるにはいいかもしれない。

ここから学習していくと要素還元主義的になり、実用から離れてしまうということになる。意味を教えられてそこから覚えていくのか、自分で幾つもの例を聞きながらある単語のイメージを作っていくのか。英語の感覚を養うという意味では良いが、やはり忙しい現代人には難しい。



修飾被修飾の関係で順番はどうするのかというのでは、著者はこう答えている。
p.185
主観的な意見を先に出し、だんだんと本質に近づいて名詞にかけるように並べます。

例として、「日本の大企業」と「メキシコ製のきれいな赤いドレス」を挙げている。「日本の大企業」は日本、大、企業に分解でき、大は主観的なものであり先に来る。よって「large Japanese companies」となるという理屈だ。後者は、メキシコ製の、きれいな、赤い、ドレスに分けられるが、英語では「a pretty red Mexican dress」となる。prettyは主観というのは分かるが、「a pretty Mexican red dress」とならないのは、red に見えるか orange に見えるか人によって違うというのが理屈で、Mexicanの前に来る。

ただしこれをもって英語(西洋語)が客観的で日本語が主観的情緒的言語でといったものではないだろう。メディアでの操作は言語とは関係なく、どの言語に対しても普通に大人の観察力で対応すべきものだ。





結局は、間違えながら覚える。トライアンドエラーしかない。ただ、文法が全て同時に完成するわけではなく獲得に苦労するものがあるということだ。

発音に関しては殆ど載っていないが、LとRがあった。これは間違えるにも区別がつく人が間違えるのと区別がまだつかない人とでは違う。発音できても間違えるときがある場合は語学というよりも心理的なものだろう。

著者は一人で、本の写真を見ると80年代のヘアスタイルのような感じがするが、全て自身が日本語で書いたのだろうか。英語に慣れてしまえば多分間違えない表現だが、昼食をとるという表現を日本人は何故か take という動詞を使ってしまうと書いている。日本語を使ってそう言っていればそれほど苦もなく推測できると思うが。著者は普段日本語で何と言っているのだろうか。父親が子どもに英語で話しかけた場面があるということは家庭内では英語を使う頻度の方が高い可能性がある。


著者の米国人観察をした記述があった。
pp240-241
 アメリカ人はものごとを大げさに言う傾向があります。

これは現地に行かなくても、平常心で観察すれば分かるだろう。アメリカ人ができると言うのと日本人ができると言うのを逆にするといいというような話もでるくらいだ。



日本人が間違えやすい英語の表現といったものはありがちだが、こういった試みはなかなか無い。ヒントはたくさんあり、こういったことを積み重ねればもっと面白いのだが、どうも起業したようで研究からは遠くなった。

アメリカの子供はどう英語を覚えるか






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奇跡の音、英語聴覚セラピー 周波数 [ホールド]

2週間で英語が耳に飛び込んでくる!奇跡の音、英語聴覚セラピー




この本は周波数に関する語学本である。

「2週間で英語が耳に飛び込んでくる!」というのがサブタイトルのようだ。周波数に関するものは『人間はみな語学の天才である』という本がある。どちらの本も医師によって書かれている。



『英語聴覚セラピー』に関しては、もともとリハビリの技術であったという。一昔前に流行った言葉である音楽療法であるが、その第一人者のようだ。モーツァルトを聞けば云々と言ったものが含まれる。




各民族が使う言葉には、それぞれ固有のメイントーンがあり、それを「パスバンド」と呼ぶ。優先周波数帯という意味で、主音域とも言う。このパスバンドの周波数帯が言語によって異なる。

ある言語が良く聞こえるためには、そのパスバンドに固定されてしまうということでもある。これは逆に他の言語を学習、習得する場合は壁になる。

パスバンドは環境の違いによって生ずると考えられている。砂漠では高い音があまり通らないため、パスバンドは低く、緯度が高い地域では高い音が通りやすいと書かれている。

この本には各言語のパスバンドの周波数を記してあり、125から12000という数値がある。人間の耳は機能的には1万6000ヘルツあるいは2万ヘルツまで聴き取る能力があるとされている。図によれば日本語のパスバンドは125から1500となっており、英語は2000超の15000辺りのようであり、米語は1000の手前から3500辺りとなっている。

パスバンドは、メイントーンであり、優先周波数帯であり主音域であるのだが、この図を見るとフランス語とスペイン語はパスバンドが2つに分かれている。この説明は無い。


さて、この教材では英語のパスバンドにチューニングすることを目的としており、同じ会話を違う周波数帯を強調した音で作られている。聴き取りにくかった高周波音が以前よりもスッと耳に入るようになると書かれている。

コンテンツは以下のようになっている。

目次
Scene1 出発―飛行機内
Scene2 到着初日―空港にて
Scene3 滞在1日目―ホテルにて
Scene4 滞在2日目―観光
Scene5 滞在最終日―帰国に向けて



Scene1-5の5つのシーンがある。その中で、ノーマル音声、2000ヘルツ〜4000ヘルツを強調、4000ヘルツ〜8000ヘルツを強調、という3種類の録音がある。


旅行英会話 聴覚刺激で英語は必ず聴き取れる』のコンテンツと同じであり、その縮小版のようである。


すると、試しとして、速度調整された会話と強調する周波数を調整された会話を同一コンテンツで聞く事ができるともいえる。などと、これとこれとを組み合わせたら強くなれるかも、といったものが沸き上がって来るが。。。

奇跡の音、英語聴覚セラピー






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聴覚刺激で英語は必ず聞き取れる 速聴 [ホールド]

図解 聴覚刺激で英語は必ず聞き取れる!





人間はみな語学の天才である』と同様、この本は英語教材の宣伝本である。両社共にテクノロジーを利用した教材であり、前者は周波数を操作、後者は速度を調整することにより出力される音声を変えている。

この、『聴覚刺激で英語は必ず聞き取れる』は、英語脳に変える英語習得プログラム、ピーカボー(PEAKABO)シリーズの宣伝本だが、宣伝自体は良くも悪くもない。

宣伝本ということでサンプル扱いであり、これだけで結果が出ると期待するのは間違っている。





ウェルニッケ中枢、アルファ波、ベータ波、シータ波、速聴(平成元年に商標登録されたらしい)、言語心象(辞書)、大脳生理学、海馬、といったバズワードが出て来る。


CDの内容は2つあり英語版の自己啓発系のようなものとなっている。それぞれ、ノーマルスピード、2倍速、3倍速、4倍速、ノーマルスピードの順に録音されている。

同様の語学本に『右脳 英語「超聴き」トレーニング』がある。そちらは、1倍速、2倍速、3倍速、4倍速、10倍速となっている。

速聴というのは、速読に対するものと考えられ、速い入力という共通性があり、一般的な言葉の様だが、どうも違うようで商標登録されているようだ。またこの会社は他社とは違うとして思い入れの強さがあるが、アイディア自体はびっくりするようなものではなく、速聴という言葉がすんなり来るのだが、この会社の技術がこの言葉の裏付けとなっているそうだ。どこかで代替案があったような気もするが、速聴きという言葉を速読の対となる一般語として提示するのはどうか。速聴の方がしっくり来るのだが。

そして、サンプルなので当然量は足りない。ということで、アイディアとして通常音声よりも速いものを使うと効果があるという主張の本だ。

図解 聴覚刺激で英語は必ず聞き取れる!




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世界ことばの旅―地球上80言語カタログ (CDブック) ネット時代 [ホールド]





このCDブックを外国語学習で使う意味は今日においては殆ど無いだろう。


1993年発売ということでネット以前ともいえる語学本だ。

当時なら中々聞くことの出来ない言語が詰まったCDブックということで希少価値があった。現在は別の意味であるかもしれないが。




カセットテープ、CDが語学のメインの音声教材であった。現在もまだ手元に置くという意味ではディスクは有用と考えられているが、この『地球上80言語カタログ』はそれより、レアな言語というものに触れてみたい、本で読んだことがある、誰かから聞いたことがある、といった言語名への興味から生ずる購入欲求を満たすものであった。ここに収録されている言語はまだ教材としては一般的では無い言語は多い。数として80言語だからではあるが。

珍しい言語の教材は、店頭にあるかないか、出版社にストックされているか、はたまた絶版になっていないかどうかといったことが、国内教材を購入する時にはあった、そして今もある事情だ。いわゆる大言語を仲介したレアな言語へのアクセスということで外国の出版社の教材を購入するということもある。40ヵ国語習得法の著者もその方法で学習していったようだ。また、海外旅行のついでに現地の書店を覗いて日本では手に入りにくい或は知られていないものを買うということもある。

そういった状況が続いている間はこの『世界ことばの旅』の各言語に耳を傾けてみるというのも意義はあった。

これは堅苦しい言語学のレコードではありません。気楽に世界の人々が話している言葉の響きに耳を傾けそこから全く自由に何かを感じ取っていただくよう作られたものです。


CDのイントロダクションではこの様に言っている。レコードという言葉も時代を感じさせるものがあるが。


確かに名前は聞いたことがあるが実際のところどんな言語だろうという意味ではその好奇心を満たすものであった。

2000年も10年以上過ぎた現在では文字だけの情報以上のものが流通している。有料無料何れにしても昔のような珍しい言語の敷居も下がって来ている。少なくともこのCDブック、『地球上80言語カタログ』にある数や挨拶言葉はネット上で文字や音声は大部分は探すことができるだろう。ここに収録されている言語全てがあるかもしれない。


とすると、無価値ということになるのか。





ネットの利用が進むほどセキュリティが叫ばれるようになって来ている。通常セキュリティに気をつけるべきはお金に関わるものであったり個人情報であったりすることが多いが愉快犯というのもいる。また、管理の問題と常にネットに接続されていなければならないということもある。何回も更新されたりする可能性がある。それらの中で出て来る、改竄、タイムスタンプ、バージョン管理といったことを気にする必要がないものがこのCDとなろう。

一度結晶となったものはそのまま残る。語学本の歴史といった代物は無いものの、歴史学言語学周辺で使われる日葡辞書のような役割として使われる可能性はある。収録された日時場所発話者は厳密に特定されていなくても変更はされていないということにこのCDブックの意味はある。

そういうことを考えると学習用としてというよりも資料として残しておく語学本といえる。個人として持っている意味があるかと言えば、無いという他はない。ほんの少しだけ有用性があるとしたら、80言語の音声が手元にあるというのは自分の発音がどの言語でも一本調子になりがちな人には使えるだろう。このCDブックでマッサージしほぐしてもらえば良い。

世界ことばの旅―地球上80言語カタログ (CDブック)



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右脳 英語「超聴き」トレーニング 速聴 [ホールド]

上達が不思議なほど早い!右脳 英語「超聴き」トレーニング (知的生きかた文庫)




この本は基本的に英語を速聴すれば上達するというもので、加えてイメージとか速読とかいったスパイスを振り掛けたものだ。

発想自体は素晴らしいが、この本を読んだからといって英語が出来るようになるわけではない。





速聴ということでは、『旅行英会話 聴覚刺激で英語は必ず聴き取れる』と同じである。そちらの本は、1倍速、2倍速、4倍速の旅行英会話だが、それにもう少し速度を調整したものを加え、1倍速、2倍速、3倍速、4倍速、10倍速とし、多少の医学的/科学的な味付けがされている本だ。文章としてはルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を採用している。

素材としては旅行会話の方が実用的な気もするが、医学部出身の著者が選んだ理由は数学者としてのルイス・キャロル、チャールズ・ドジソンを知っていたからかもしれない。外国語学習で気をつけないといけないのは対訳本の有効性はあるものの、本文は改変されている場合があるということだ。それを知って、初期の学習のためということで割り切って行うのなら良いが。同じように対訳本でなくても外国人向けに手が加えられたものがある可能性も捨てきれない。



第二章に、「わからないスペルがあっても、とにかく書いてみる」という見出しがある。何故かディクテーションという言葉は使われていない。語学が専門というわけではないからか。



右脳やイメージというバズワードを使っているが、あまり気にする必要はないだろう。日本語に訳さずにということになるとダイレクトメソッドのようになり、イメージによりフォーカスするとそもそも行ったことも無ければ見たことも無いものを英語の音声からイメージは出来ない。

右脳左脳論でもっと右脳を使いましょうというのはそれこそ何十年と言われて来たものであろうし、脳機能の局在性とも関連するもので、一般に広まったのは角田忠信の功績であろう。脳機能局在論に関してはある程度の批判はあっても否定はできないものであり脳出血の患者を見る場合どちらの脳から出血したかはその患者の症状から推察できる。ただし、右脳、イメージ、と来て、物事のイメージそのものを英語から取り込むことが成人した人間に可能かどうかは分からない。「考えるな、感じろ」というのも分からないではないが、それこそ医者の健康法に近く感じる。正反対の主張が本として並べてあるのを変だと思う感覚は必要だろう。高校の社会科の教科書だけでなく理科の教科書も時代と共に変わっていくのである。科学的というのも程々にといったところか。





第二章で速聴に関して、64ページのG・K・フェルゲン、65ページのジェイムス・チャリス、66ページのエドワード・デニスを挙げている。

ミズーリ大学教育学部のG・K・フェルゲン博士は、ミズーリ州の五つの小学校の児童四五六人を対象に、超聴き(分速八〇、分速十三〇、分速十八〇、分速二三〇英単語)の調査研究を行いました。


蛇足だが、これは児童四五六人では無く、グレード4、5、6の児童を対象に調査したG・K・フェルゲンの1954年の博士論文ではないか。周波数の話もそうだが、速聴も戦後間もなく行われた調査が21世紀にもなっても新しい感覚があるのか、それともやはり有効性があるのか。




速聴は有効かもしれないが、やはり自分に必要な分野のコンテンツを作ってそれを高速化したものを聞いた方が役に立つのだろう。

⇒ 『上達が不思議なほど早い-右脳-英語「超聴き」トレーニング


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旅行英会話 聴覚刺激で英語は必ず聴き取れる 速聴 [ホールド]

旅行英会話 聴覚刺激で英語は必ず聴き取れる




この本は英語を速聴でトレーニングする本である。この速聴はネイティヴスピーカーの標準の早さを標準スピードとして、その2倍速、4倍速で聞くというものだ。

この本は過度の期待は禁物だという意味で特に必要ないではないかと思う。





構成としては、Scene1からScene10まであり、その中で各シーンの同じ内容を、ネイティブスピード、2倍速、4倍速の3段階で話されている。


効果があるのかないのかははっきりしなかった。これを使った後に世界が変わったような感覚を得られるのでは無いかと思える題名だが、実際のところそうはならない。取り敢えず英語が喋れる人間に取ってどれほど役に立つかは分からない。

テクノロジーを使ったものには、周波数に着目した『人間はみな語学の天才である』がある。これは速度調整によるアプローチだ。



ただし、この手法が無効であるというわけではない。使い方の問題もあるからだ。

リスニングが苦手、まだ英語が上手くない、久しぶりに英語を使う、といった人には役に立つのかもしれないが、ある程度話せるという人間には不要だと思われる。より良くというのは分かるがその効果が目に見えてとはならないかもしれないからだ。



この速聴自体は役に立たないわけではない。使う人によっては効果があると考えられる。速読によって速い球が見えるようになる(、また体が反応できるようになる)という効果があるようだ。『だから速読できへんねん!』という本だ。速読にも幾つかの流派があるようだが、これは速読以外の効果をアピールしたものだ。見ている対象物のスピードが以前よりもゆっくりと感じられるということだ。できれば受けてみたいが、だからといってプロ並みに打球を飛ばせるわけではないだろう。体の他の部位も使い、それなりに鍛えなければならないからだ。




旅行英会話 聴覚刺激で英語は必ず聴き取れる』は「聴き取れる」と言い、「話せる」とは言っていない。耳を鍛えたからといって口がうまく動くわけではない。また、「必ず」というのは、この本の内容に限っては、4倍速、2倍速、と下げて行き改めてネイティブスピードを聞くと、聞き取りが楽になっているということだろう。これに関しては間違ってはいない。このコンテンツの聴き取りは確かに楽になる。

それが、一般の会話、仕事での会話に即座に反映するかというと、残念ながらそうはならない。そのコンテンツと量を調整すべきだろう。



タイトルの中に、「聴覚」という言葉があるからか、「聴き取れる」となっているが、「聞き取れる」の方が近いのではないか。変化したり省略された音が「聴き取れる」ならよいが、この場合は以前よりもスピードが落ちた感じがして聞くのが楽になるという意味だからだ。音を聴き取るということであれば、『ボトムアップ式 映画英語のリスニング 新装版―NewYork Detective Story』が良いだろう。こちらはボトムアップの方法であり、一音一音聴き取れるかどうか確認していく、それこそシラミつぶしに作業するようなもので根気がいる。


目次
Scene1 出発―飛行機内
Scene2 到着初日―空港にて
Scene3 滞在1日目―ホテルにて
Scene4 滞在2日目―観光
Scene5 滞在3日目―移動 L.A.からサンフランシスコへ
Scene6 滞在4日目―食事
Scene7 滞在5日目―買い物
Scene8 滞在最終日―帰国に向けて
Scene9 トラブル発生
Scene10 旅の実務





まとめると、アイディアとしては良いが、過度の期待は禁物であり、それを理解した上で手にすべき語学本だ。

⇒ 『旅行英会話 聴覚刺激で英語は必ず聴き取れる


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人間はみな語学の天才である 周波数 [ホールド]




この本は「周波数」に関する語学本である。

語学上達のためということでは特に購入する必要の無い本である。



著者は1920年の生まれで、本書の初版は1993年だ。訳者はトマティス研究会となっている。

目次

序章 
第一章 聞こえない耳
第二章 人間の土地、バベル
第三章 さあ、言語をめざせ!
第四章 言語は文法のみにあらず
第五章 言語の四つのカギ
第六章 ポリグロットになるには
第七章 子供と外国語学習
第八章 成人と外国語学習
バベルの塔の再発見
付録 聴覚言語学的同化の諸法則


*本邦訳版の編集にあたっては、オリジナル版の第四章の全部と第五章の一部をカットいたしました。





周波数と語学の関係は少し前に流行ったようだが、実際のところ本書176ページにはこのような記述がある。

 私は一九五二年以降、本書の付録にあげた諸法則を立証し、その応用をはかるために「聞き方」、そしてその結果としての「話し方」を変えることのできる装置を開発することに全力を傾けた。


ということで、日本では新しく聞こえるこの研究はかなり古くからあるということだ。



この本は言うまでもなくこの方式を使った学校の宣伝のための本であるが、その実際の教材の効果以前に本書の説明はどうも擬似科学のような印象を受ける。

著者はパリ大学医学部卒の人間である。だからといって全てが科学的とは限らない。

良くあるのが、お医者さんがすすめる健康法だ。正反対の方法が書店で平気で並べられているのだ。つまり医者が書けば科学的でも無ければ整合性があるわけでもない。

どうもこの本の説明だと地理的要因が言語に多大な影響を及ぼしているようだ。読んでいるともっともらしく聞こえてしまう。




27ページにはこう書かれている。
聞き取れない音は、例外なく声にだしていうこともできないからである。

つまり、聞き取れれば、声に出して言うことができる、とは限らないとも言える。

本書の中で、聴き取りと発音/発声の関連がどうもはっきりしなかった。聴き取れれば喉が舌が自動的に動くようになるわけではなかろう。少なくとも別の筋肉であり、聞き流せば喋れるとか英語のシャワーを浴びれば喋れるようになるなどのように感じる。大人ならば言語学的知識や発音トレーニングなり矯正ができる。こういったものがなければ喃語の期間も存在する理由が無くなるのではないか。聞くと発音するは別と考えた方が良いだろう。




面白そうなテーマが詰まっている本で言語学に興味がある人は読んでいて楽しめるかも知れないが特にこれといって取り入れるべきものはない。

外国語学習は周波数がキーとなると思うならば試してみるのもいいかもしれない。

人間はみな語学の天才である



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40ヵ国語習得法 [ホールド]

40ヵ国語習得法―私はこうしてマスターした (ブルーバックス)





40ヵ国語習得法は、講談社から1994年に発行された全18章からなる語学本である。

この本は語学本収集の目的以外では読む必要のない本である。



ブルーバックスは1963年9月の野間省一による発刊のことばにあるように科学の本である。学者、学生、産業人、セールスマン、ジャーナリスト、主婦と並べられており、文章も時代を感じさせるものがある。

 二十世紀最大の特色は、それが科学時代であるということです。科学は日に日に進歩を続け、止まるところを知りません。ひと昔前の夢物語もどんどん現実化しており、今やわれわれの生活のすべてが、科学によってゆり動かされているといっても過言ではないでしょう。  そのような背景を考えれば、学者や学生はもちろん、産業人も、セールスマンも、ジャーナリストも、家庭の主婦も、みんなが科学を知らなければ、時代の流れに逆らうことになるでしょう。


この『40ヵ国語習得法』は、趣味・ゲーム・実用(Ⅰ)に収められている。ブルーバックスも拡張を続け科学技術以外の分野にも手を出している。

さて、1963年は、1957年のスプートニク・ショック後でもっと科学技術に力を注ぐべしといった時代ある。舛添要一の6カ国語勉強法で触れた理工系の話である『スプートニクの落とし子たち 理工系エリートの栄光と挫折』の今野と野口は1940年生まれで、著者は1943年生まれだ。



著者は外大英文科と北大理類を受験し北大に進学、後に医学部に編入した。ここで医者と英語を選択したことになっている。

医学部卒業後、神奈川の座間米陸軍病院でインターンを経験し1969年渡米しニューヨーク医科大学で眼科専門の研修を受けた。1974年に同市内で眼科医院を開業している。

受験時は迷った英文科か理系かという選択も、学生時代に決めた英語も医学もで計画通りにいったということで優秀な人物である。


ピーター・フランクルは、大学で数学の講義ができる程度の言語は11ヶ国語というが、この著者はそれに相当することを書いていない。つまり専門分野で使える外国語は英語だけの可能性が高い。それ以外の外国語は著者の経験として本書で色々と触れられている。



また、いわゆるヨーロッパ人とマルチリンガルの関係については、こう言っている。

 ヨーロッパは地続きで狭いので、ヨーロッパ人は何ヵ国語も話せるというのはうそである。空港、ホテルでは数カ国語を話せる人がかなりいるが、一歩田舎に入ると、外国語は1つも話せない人たちがかなりいる。医者でも、世界中飛びまわっている有名な学者たちはかなり外国語を話すが、英語が主な共通語になっている国際学会で秘書に代弁してもらって発表するという医者もいる。


分かっている人に取っては当たり前のことだが、国内で妄想を膨らませたり海外にあっても自分で現実をねじ曲げてしまう人たちがいる。こういった普通のことをしっかりと書いてあるのはありがたい。



137ページに40ヵ国語の説明がある。

 これから紹介するのは、これまで私が学んできた40ヵ国語である。




タイトルには、習得法とあるが、実際には習得したのかどうかは不明である。習った、齧ったのは多くあるが数と程度はそれほど明確ではないようだ。また40ヶ国語の40という数字について考えてみた。参考文献にそのヒントらしきものがあった。

『20ヶ国語ペラペラ』種田輝豊著、実業之日本社、1969


40ヵ国語習得法





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ピーター流外国語習得術 [ホールド]

ピーター流外国語習得術 (岩波ジュニア新書)




数学者であり大道芸人でもあるピーター・フランクルという優秀な人間が書いた本である。

結論から言うと語学学習に関してはしっかりしたことが書いてあり読む必要は特に無い。



この本は岩波ジュニア新書の一つである。名前の通り若い人に向けられて作られたシリーズであり、発足に際してというのを見ると一九七九年六月となっている。この本だけは10代以外の購買者が多いのかも知れない。そんな1999年に出版された語学本である。


岩波書店、若者向け、ピーター・フランクルという個性的な人間、これらが合わさった書物なので読みにくいと感じる箇所はあるだろし矛盾点も見つかる。国際人とか愛国主義だとか洗脳だとかいうキーワードが出て来るがこれを10代の人間に読ませて良いのかと逆に心配になる。ある程度分かって来ると本書の矛盾点も指摘できるようになりこの本自体洗脳ではないかと訝しく思うのである。また旧東欧諸国がEUに接近するようになった辺りの東欧人の感覚や情報のアップデートは無い。実際に話すと分かるのだが彼らと筆者の感覚は違う。筆者自身洗脳されているかもしれないと思えるようになる。そういった読みにくいところがゴツゴツとある本だ。



さて、この本の中で特に良かったことを見つけるとすると、対訳本の使用が挙げられる。

対訳によって意味を取っていくという方法だ。有名な物語ならば様々な言語で使えるということになる。ただし、その場合、学習しようとする言語の文章は簡略化されたものである可能性もあるので注意は必要だ。



著者は10ヶ国語以上を使えるようだが、大学で数学の講義ができる程度の言語は11ヶ国語で、話せる言語は12ヶ国語であると書いている。大学で数学の講義ができる程度、と筆者が表現しているがこの表現方法が語学学習者にとっては実は曲者だ。もちろん彼の語学のことを言っているのではない。このことは別の機会で触れると思うがどうも錯覚させられるものだ。

本書のはじめにで書いてある順に並べると、ハンガリー語、英語、ドイツ語、スウェーデン語、フランス語、スペイン語、ロシア語、ポーランド語、日本語、韓国・朝鮮語、中国語の計11ヶ国語がそれである。

これらにインドネシア語が話せる言葉として加わるので十二か国語になる。

実際は少しでもかじった言葉や片言のもの類推がきくのもあるだろう。




ハンガリー人の語学学習本といえば、『わたしの外国語学習法』がある。

同じように、強国に挟まれた国としてドイツ語、ロシア語を学ぶ運命にあった。

ロンブ カトーの場合は、解放下でロシア語が使えたため以降その力を発揮するようになった。一方フランクルはドイツ語で語学学習のコツをつかんだ。ドイツ語、ロシア語、スウェーデン語と学び、その次のフランス語で海外行きの切符をつかんだ。フランス留学だ。

第1章の後ろの方で52ページの「語学習特のコツをまとめると」では、短期間はいま勉強している言語に集中するということ、と言っている。他にもいくつかコツが書かれている。複数の言語というと同時並行でという人がいるが筆者はそれは奨めていない。

後ろの方で、ヨーロッパの言語に関してはスラブ系、ラテン系、ゲルマン系のそれぞれの言語を一つ習得しておくと後で比較的やさしく入っていけると書いてある。ある程度できるようになれば同じグループの言語の習得は比較的楽だというものだ。これもよくある話なので特に取り上げる必要も無いかもしれない。ただ、同時並行で行うとどちらかというと益よりも害が多いかもしれない。




あとがきの194ページで、いろいろな趣味のなかでも外国語は二流でもいいのです、と書いている。これは、ロンブ・カトーがいう「わたしたちが外国語を学習するのは、外国語こそが、たとえ下手に身につけても決して無駄に終わらぬ唯一のものだからです。」と通ずるところがある。

ピーター流外国語習得術


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