On the Streets of America アメリカ英語方言のリスニング [ホールド]
アメリカの様々な英語について書かれたCDブックである。これを真似ればその方言が習得できるかと言われれば否定的な答えになるだろう。これは日本語の方言でも同じだろう。先ず分量が足りないからだ。ということで学習用として買う必要は無い。
英語ネイティヴならば、どの辺のアメリカ英語か当てるというゲームのようなことをする楽しみがある。もちろん日本人でも慣れればできるのだろうが、この本はもっと大雑把なものだ。
実用と言うよりも楽しみの方に近い。現地の言葉に早く慣れたいとかヒップホップ系の音楽をもっと楽しみたいとかいう場合に使えるのだろうか。
語学マニアのお楽しみのための本のようなものだ。
【目次】 はじめに アメリカ英語について
本書の使い方
1 アフリカ系アメリカ人の英語
2 アメリカ南部の英語
3 ボストン英語
4 チカーノの英語
5 ヒルビリーの英語
6 ティーンエイジャーの英語
コラム
アフリカ系アメリカ人の英語が及ぼす影響
南部の英語に対する複雑な感情
ボストン英語のイメージ
がんばれ! ヒスパニック文化
軽蔑される? ヒルビリーの英語
WRITERS
DeShong Perry (第1章 1、2)
Dawn Harrison (第1章 3)
Dennis Siler (第2章)
Sean Lucey & Cathi Bifano (第3章)
Manuel Murrieta Saldivar (第4章)
Roy Hil (第5章)
John VanDenburgh (第6章)
編著者
ボイエ・デ・メンテ Boyé De Mente
アメリカのミズーリ州生まれ。1949年にアメリカ軍の情報機関の一員として来日して以来、ジャーナリスト、編集者、コンサルタント、教員などとしてアジアおよび日本に関わった仕事にたずさわる。日本のビジネスに関する初の英文書Japanese Etiquette & Ethics in Business(1959)をはじめ、日本に関する著書多数。また『謎の英単語230-日本人にはわからない「裏」の意味』(松本道弘との共著:講談社インターナショナル)など、日本での書籍もある。小社刊『通じないカタカナ英語』(松本道弘著)では協力者の一人として、日本とアメリカの異文化交流の視点から多くのコメントを寄せている。
はじめにで、アメリカ英語は南北で大きく2つに分かれていて、北部は3方言に、南部は2方言に分かれるとされている。北部方言は北部北域(ニューイングランド地方を含む)、北部南域と西部の3方言に、南部方言は南部北域と南部南域の2方言に分けられている。また、人種民族的な背景によっても分けられる。
主要なアメリカの方言として認められたものとして、アフリカ系アメリカ人の英語、ボストン(ニューイングランド)の英語、チカーノ(ヒスパニック)の英語、ヒルビリーの英語、イタリア系アメリカ人の英語、ユダヤ系アメリカ人の英語、アメリカ南部の英語の7つがあるとしている。方言として認められてはいないが、「クール」なティーンエイジャーが話す英語を8番目の方言として挙げることができるとしている。
本書では、上記8つの「方言」の内、イタリア系アメリカ人の英語、ユダヤ系アメリカ人の英語を除いたものを取り上げている。南部は一つにまとめ、北部は北部北域に分類されるボストン英語を取り上げている。76頁の解説では東部アメリカ英語というもの重なっていることになっているようだ。
内容は、街で拾った音というわけではなく一応構成されている。本当はこんなこと言わないとか目くじらを立てるのではなく楽しむためのものと割り切った方が良いだろう。もしかしたらこの本で特徴をつかんで成果を動画で公開するというのもできるかもしれない。学習用でも学術書でもないといった中途半端さを楽しめれば良書なのだろう。
各章の頭に、その英語の特徴などが編著者によって解説されているが、章末にはコラムとして文化的背景の解説がある。発音の詳細に関しては、各ダイアローグで使われているものの解説となる。各章のライターは全員が専門家として大学で教えているとか研究しているというわけではない。作家であったりIT企業経営者であったりジャーナリストだったりする場合もある。
さて、著者についてだが、こう書かれている。
アメリカのミズーリ州生まれ。1949年にアメリカ軍の情報機関の一員として来日して以来、ジャーナリスト、編集者、コンサルタント、教員などとしてアジアおよび日本に関わった仕事にたずさわる。
最近話題の軍の情報機関ですか。いわゆるインテリジェンス業界の人間が書いたものだが、筆者は現役なのだろうか。
近年はインターネットやGPSといった軍事技術を民間や他国に開放し利用させてから大規模に時にはピンポイントで情報収集をするという手法があるが、著者は昔ながらの方法で現地に入り込み情報を得たりそれ以上のことをしたりといったことをしているのだろうか。
文化人類学も学問という建前はあるにしても、『ザ・グレート・ゲーム』のように現地調査の重要性は昔から変わっていないのだろう。
ただ、本書の利用者は単純に楽しむために購入するのだろう。
また一冊積み上がるのか。。。
⇒ On the Streets of America アメリカ英語方言のリスニング
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