イギリス英語はおもしろい CDブック [ホールド]
本書はCDブックではあるがどちらかというとイギリス英語入門であり読み物といった位置づけの本だ。
著者まえがきによると、1998年3月から1999年4月まで英国エクセター大学に行っている。11年間務めたNHKラジオ「英会話」の講師をやめた後だ。
本書はイギリス経験をもとに書かれているということになっている。1999年4月に終わって、1999年6月付けのまえがきなので出発前から企画があったのだろう。
それまでは世代的にもアメリカ漬けだったということで当たり前のようにアメリカ英語がお手本にされていた。
著者の世代は、英語はNHKラジオであったりFENから吸収し、松本亨がNHKラジオ英語会話の講師の時代だ。
松本亨は戦前に留学し現地の神学校を卒業したが敵性外国人として捕虜収容所へ移されている。後に博士号を取得し帰国してからラジオ英語会話の講師を務めたということだ。
FENは米海外基地の軍属軍人のためのものであり、当時はベトナム戦争がありそこから漏れて来るアメリカを必死に吸収していった。そんな環境なのだろう。
映画や音楽もアメリカからであり筆者の書く通り「アメリカ漬け」のようだ。
因みに、『40ヵ国語習得法』の新名美次が中学生一年のときのラジオ基礎英語は入江定という人だった。中学二年で松本亨のラジオ英語会話を聞いている。大杉正明は1947年生まれで彼は43年生まれなので英語教育としては同世代として育ったと言っても良いだろう。松本亨世代とでもいうべきか。
そんな著者が90年代の終わりに英国に行き別の英語を知ったということだ。まぁ知らなかったわけでは無いが、アメリカ英語で売っていたところに、皆さん世界にはこんな英語もありますよといった感じで紹介している。そんなストーリーを醸し出している。
イギリス英語をじっくり学びたい人向けではなく、とっかかりであったり入門書のようなものだ。そんなことを分かっていながら買ってしまった一冊である。。。
この本は単語や熟語にフォーカスしており、町で拾った英会話といった、『LIVE from LONDON』ものとは別だ。イギリス現地で出くわす英語を中心に構成されており、比較ものである『あたりまえだけどなかなかできない英語発音のルール』や米カリフォルニアで収録された『ナマった英語のリスニング』とも少し違う。
リンク先の目次には書かれていないが、日米英対象リストというイギリス英語を元にした言葉のリストものがある。更に英語索引、日本語索引もついているのでちょっと感心した。
イギリス英語はおもしろいし、本書や著者の時代背景も調べていくとおもしろい。
⇒ イギリス英語はおもしろい