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『世界中の言語を楽しく学ぶ』 共通文法カテゴリーと耳通し [バイ]

世界中の言語を楽しく学ぶ (新潮新書)






ただの民間のサラリーマンが書いた語学本、というわけではない。

言語学科卒業という履歴を持ち、仕事も語学とは全く関係ないというわけでは無く、校閲者という言葉に敏感な立場の人間だ。

語学教師でもなく、職業としての語学の専門家でもなく、サラリーマンが必要として語学をやっているのでもなく、かといって趣味だけでもないという微妙な立ち位置にいる。趣味のものを敢えて実用にする必要は無いかもしれないが、校閲者でなくても筆者なら仮に別の職業であっても語学を上手く仕事に活かしたのではないかと思える。



『世界中の言語を楽しく学ぶ』というタイトルから分かるように、多言語学習のヒントが詰まった本である。そしてこれは読んだ方が良い語学本でもある。

全6章ある。




多言語学習者に対するこの本の最大の贈り物となるものは「共通文法カテゴリー」だろう。

本書の82ページでは、忘れてもそれを見ればすぐに思い出すにはということで、それには「文法の共通語」を作って、各言語の文法をそれに翻訳して行くというものだ。

162ページにはその「共通文法カテゴリー」の具体例が出ている。これは筆者なりのものであり、個人個人で違って来る物だ。

忘れても、可能な限り早く思い出す、と同時に新しい言語の概要を見て行く場合にも使えるものだ。

共通文法カテゴリーは筆者の使う術語のようなものであり、そのようなものが存在しているわけでもなく、ヨーロッパ言語の文法を改変したようなものと取る向きもあるかもしれないが、これは方便であり実用を旨としたものだ。これ以上は長くなるので説明はしないが、学習者自身が学びやすくするためのものとして提示しており、見本も見せている。後は自分で作り上げるのみだ。




「共通文法カテゴリー」とあるように、文法のことを書いているので音声は軽視しているかというとさにあらず。「耳通し」と筆者が名付けているものがある。78ページでは、学習した言語の音や基本的表現を耳と頭に染み込ませる訓練、と定義している。




また、コラムとして様々な言語に言及している。

その他細かいテクニックが満載となっている。東京の通勤電車という狭い空間の中で磨かれたテクニックがコンパクトな新書に詰まっている。



この本は多言語学習に興味がある人にはおススメの本である。

世界中の言語を楽しく学ぶ


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